研究概要 |
環境への知識埋め込みによって,複数ロボットが知識を共有し効率よく作業を実行できることを,オフィスにおける複数ロボットのナビゲーションを例にシミュレーションによって示した.有限の記憶容量に知識を記録するための知識の優先順位として知識の有用性を定義し,より有用な知識を蓄えることによって,作業効率が向上することを示した.また,記憶媒体の総数が限られる場合に,より知識を必要とする場所に記憶媒体を再配置することによって,環境全体でより有用な知識を蓄え,作業効率が向上することを示した.ロボットの数が多い場合には,知識を集中管理する手法に比べて知識埋め込み法が通信コストの面で適していることをシミュレーションによって確認した. カメラとアームを備えたロボットが環境の知識を獲得する手法について研究を行った.環境の知識として,物体認識に有用となる物体の「見え」を用いた.背景を除いた物体の見えを獲得するために,ロボットがもつアームによって物体を少し移動することによって,物体領域を抽出し,物体の見えを獲得する手法を提案した.見えを物体のエッジで表現し2値化することによって,少ない容量の記憶媒体に蓄えられることを示し,簡単な構造の物体については,物体のエッジを用いて物体認識できることを示した.獲得した知識を市販のデータキャリアと無線で通信することによって記憶媒体に書き込むことができることを確認した. 以上の通り,本年度は,環境への知識埋め込み手法において記憶媒体の容量が限られる場合にも,知識の有用性を評価し,より有用な知識を記憶媒体に蓄えることによって作業効率が向上することを示した.また,視覚センサとしてカメラを用い,物体の見えを知識として獲得し,記憶媒体に蓄えた知識を用いて物体認識できることを示した.
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