研究概要 |
複数マイクロプロセッサ・ボードによる実験システムの基本的な開発を行った.開発した複数プロセッサ・システムは,ホストコンピュータとのシリアル通信機能および他のプロセッサ・ボードとの4チャンネルのパラレル通信機能をもつ.プロセッサ・ボード間の通信経路は接続を自由に変更することができ,これにより自己相似システムを種々のトポロジで構成することができる.プロセッサ・ボード間の非同期通信および同期通信が可能であり,特に非同期通信の手法として,本研究ではスケジュールにもとづく情報発信を相互に行う方式を可能とした.これにより,互いに割り込みをかけることなく,個々のプロセッサがより自律分散的にふるまうことが可能となる.また,プロセッサのタイマ機能を用いた,システムの故障や処理速度のばらつきを模擬する機能を実現した. 自己相似構造の工学システムへの適用例としての宇宙構造物(軌道上プラットフォーム)についても検討を行った.複数のサービスを統合する軌道上プラットフォームにおいては,異なるサービス間の様々な側面での干渉という問題が生じる.軌道上プラットフォームはこういった干渉を解消する機能を保有することが望ましいが,限られたエネルギー資源等の問題から,可能な範囲で局所的に対処することが求められる.したがって,軌道上プラットフォームを構成する各部分システムは,基本的には独立して自律的にその部分システム内で干渉を解消するように動作し,そのような局所的な問題解決が不可能な場合にのみ適当なより大規模の部分システムが動作することが望ましい.こういった動作戦略に自己相似システムが適していることを示し,干渉として運動量の保存に起因するものをとりあげ,その定式化ならびに干渉解消アルゴリズムについても研究を行った.
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