本年度行った研究結果は以下のとおりである。 ●二つの対象物をロボットハンドで持ち上げる際のメカニズムの解明を行った。転がり接触を仮定すると、ロボットハンドで対象物を両側から押し付けるだけで、二つの対象物がリンク表面を転がり上がることが示される。これを「すくい上げの条件」として定式化し、実験により有効性を検証した。この結果を国際学会において発表を行った。 ●複数対象物をロボットハンドで操る場合、対象物同士が接触するため対象物の運動は拘束を受ける。また、対象物同士の接触点における接触力は指力に依存して決定される。これら、複数対象物の把握に固有の問題点について、それぞれ定式化を行い、これらを考慮した操り制御を実現させた。また、提案する手法の有効性をシミュレーションや実験により確認した。この結果はロボット学会誌に掲載予定であり、国際学会において発表を行う予定である。 ●複数対象物を操る場合、操りが可能であることを示す指標としてActive Force Closureがある。複数対象物のActive Force Closureの定式化を行い、数値例により有効性の検証を行った。この結果はロボット学会に掲載された。また、Kluwer Academic Pressより出版される本に含まれる予定である。
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