2カ年計画のうちの初年度である平成11年度では、研究主題に基づいて、主に(1)知能分散型制御システムによる不整地歩行のシミュレーション、および(2)多脚歩行機構の開発を行った。 前者のシミュレーションでは、接地面に拘束を受けない不整地環境を計算機上に仮想し、この仮想環境内において知能分散型制御システムを適用した歩行ロボットで歩行させるシミュレーションプログラムを開発した。その結果、歩行機構の胴体高に対して10%程度の起伏上では、歩行機構を停止させることなく連続かつ安定に歩行を行わせることができた。歩行ロボットのエネルギー効率を考えると、ある程度の不整地においても連続歩行を行うことが望ましく、本制御システムを用いることによってこれを実現することが可能となった。一方、後者では本制御システムを実機として実現するための準備として、各脚に3自由度を有する歩行ロボットの脚を試作し、その駆動実験を行った。この研究の本年度の目的は、前者で説明した知能分散型制御システムを適用するためのプラットフォームとしての歩行機構を開発することにある。試作した脚機構を台車に搭載し、一般的なパーソナルコンピュータによって、擬似的な歩行実験を行ったところ、歩行機構の脚として十分な性能を有することが確認できた。次年度はこの脚機構を量産し、実際に知能分散型制御システムを導入することで、本研究の有効性を実記実験にて確認していきたい。
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