研究概要 |
1.放電チェンバの改良と分光診断装置の動作確認 放電からの発光をフォトニックマルチチャネルアナライザ(PMA:購入備品)に導くための光学窓をチェンバに設置した。また、チェンバに窒素および空気を封入して直流グロー放電を発生させ、これらのガス特有の発光スペクトルが所定の位置に現れることを確認し、分光測定装置の正常動作を確認した。 2.窒素-ベンゼン混合ガス中グロー放電の分解と分光測定 窒素ガスにベンゼンを2〜20%混合し、全ガス圧を0.5および1Torrに設定して直流グロー放電を発生させ、放電からの発光を波長分解し、その経時変化をPMAで測定した。 (1)放電を開始すると、窒素ガスの特有のスペクトルに混じって、CN(918nm),Hα(656nm),C_2(810nm)等のスペクトルが現れてくることから、放電中でベンゼンが分解されていることがわかった。 (2)CNの発光は、放電開始後ほぼ直線的に増加してピークを持ち、その後減少して一定値になる。ベンゼンの混合率を増やすとピーク到達までの時間が長くなることから、CNはベンゼンの分解生成物と考えられる。 (3)CNの発光が一定になるまでの間、N_2の1st negativeおよび2nd positive bandの発光も時間的に変化していることから、ベンゼンの分解に窒素励起分子や窒素イオンが関係していると考えられる。 (4)放電後に電極や放電チェンバ壁に堆積物があり、それをラマン分光計で調べた結果、C-C結合を持つ膜であることがわかった。このことから、ベンゼン環の炭素が分解され、それが薄膜として堆積していることことがわかる。また、CNの発光がピークとなる付近で、ベンゼンが分解されてCNが生成される量よりもCNが電極等に堆積しプラズマ中から失われる量が多くなっていると考えられる。
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