研究概要 |
本年度は,中性点電位の変動に着目したブリッジ形多レグ電力変換器の拡張一般化理論を確立すると共に,本理論より自動的に導出されたレグ省略形およびレグ共通形電力変換回路のうち,UPSおよび電子負荷装置に適用可能な単相/単相電力変換器および単相/三相電力変換器を試作した。これより,以下の結果が得られた。中性点電位に着目した一般化理論に関しては, (1)多相電源および負荷においては端子数を,電力変換器においてはレグ数を基準とした表現を用いることで,すべての多レグ電力変換器を統一的に表現することができた。 (2)対称多相線間出力電圧を得る条件下での中性点電位制御可能範囲を数理的に明らかにし,同一出力電圧を得る場合においてもその制御法は無数にあることを証明できた。 (3)各電力変換器が有する最大の線間出力電圧は中性点電位制御可能範囲の最大値と最小値が接する値で簡単に求められ,これまで独立に理論付けられていた各レグ非対称制御をも統一的に表現できた。 (4)中性点電位制御により,レグ省略形およびレグ共通形の様々な回路を自動的に導出できた。 本理論よりUPS等に適用可能な単相/単相変換器および単相/三相変換器の試作については, (1)コンバータ制御に関しては,入力力率99%以上,DC電圧一定制御を達成することができた。 (2)インバータ制御については,出力電圧歪み率3%以下で電圧変動率2%以下を得ることができた。 以上のように,中性点電位に着目した拡張一般化理論は,従来独立に理論展開されていた回路および制御法をすべて統一的に表現することが可能となった。本理論より導出された回路の試作からも,理論の正統性が実証されており,本年度の計画は達成することができた。
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