研究計画に沿い、本年度はある程度簡略化を施したモデル群を構築し、配電系統全体の過渡計算を行うプログラムを開発した。具体的には、以下のとおりである。 (1)一般的な配電系統のモデル化 (2)オンサイト用分散型電源として用いられる電源をモデル化(同期機コージェネレーションシステム、燃料電池など) (3)作成したモデルを用いてシミュレーションを行う計算プログラムの開発 (4)小規模なモデルを採用し、計算結果の妥当性検討 まず、(1)実際の配電系統の系統図を入手し、配電系統モデルを作成した。本シミュレータで扱う時間領域と要求される計算精度とを鑑み、一般的な集中常数回路としてモデル化した。また、(2)分散型電源としてすでに導入が進んでいる同期発電機を用いたコジェネシステムや、直流形分散型電源として燃料電池を取り上げ、それぞれのモデル化を行った。 続いて、(3)それらのモデルを組み込んだシミュレーションプログラムの開発を行った。対象とする配電系統が一般に多くのノードを持ち、問題が大規模なものとなるため、配電系統用に開発された高速な潮流計算法や、スパース技法などを積極的に取り入れ、計算時間の低減を図った。 そして、(4)小規模な問題を例題として取り上げ、実際にシミュレーション計算を行い、その結果の検証を行った。得られた結果は理論的に見て妥当なものであり、本シミュレータは次年度の研究計画に大いに活かせるものと思われる。しかし、実機から得られたデータとの詳細な照合までは行っておらず、次年度最初の課題として挙げておきたい。
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