本研究における初年度(平成11年度)の到達目標は(1)反応定数および電子衝突断面積の最新情報調査、(2)計算モデルの作成および解析プログラムの汎用化、(3)各種放電特性の検討であった。 (1)に関しては、文献検索ライブラリやインターネットを用いて調査を行った。現時点では希ガスに関してのみであるが、電子衝突断面積、中性粒子間衝突の反応定数および光学的遷移過程のデータを多量に入手することができ、それらは独自にデータベースしている。なお、本研究では実験値との比較により、厳選したデータを使用した。 (2)に関しては、データ入力部の分離、混合比およびガス圧の選択比、配列計算ルーチンの導入などにより、断面積や反応定数のデータモジュールを取り替えるだけで、三種混合までの放電パラメータ計算を簡便かつ自動的に行えるようになった。簡易版のプログラムに関してはインターネットにより一般公開も行っている。 (3)に関しては、Xe/He、Xe/Neの二種混合およびXe/Ne/Heの三種混合における各種特性を科学研究費補助金により購入したパーソナルコンピュータを用いて計算し、混合比およびガス圧に対する放電始動電圧および紫外線発光効率特性を検討した。これらの研究結果は、国内学会(電気学会放電研究会)および国際学会(電離気体現象国際会議)にて発表を行っている。また、これまでに得られた新知見をより詳細に検討し、投稿論文(Journal of Physics D)としてまとめ、受理掲載されるに至っている。 以上のことから、本研究では当補助金を有効に活用し、確実に到達目標を達成できたと思われる。
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