かご形誘導電動機(以下、IMと略記)は、産業動力用のみならず家電機器用として広範囲に多数用いられている。そのため、近年の環境改善の見地から、より低騒音のIMが強く求められている。IMは、その構造上、大小はあるが、必ず電磁騒音の原因となる電磁振動を生じる。また、IMの電磁振動および電磁騒音は、IMに接続される負荷機構の影響やIMの設置状態などの影響を多大に受ける。このため、IMの負荷時における電磁振動を検討することは極めて難解なことであり、未解明な部分が多数残存している。しかし、IM単体の電磁振動を解明することは本質的に重要なことであり、理論的かつ定量的に明らかになれば、極めて有益な研究成果となると考えられる。 本研究では、三相IMおよびコンデンサモータ(以下、CRMと略記)の負荷時電磁振動を理論的かつ実験的に明確にしようとするものである。昨年度までに、三相IMにおける負荷時電磁振動の発生原因および発生の特徴などを明らかにしてきている。本年度は、三相IMにおける負荷時電磁振動のスロット数組合せによる特徴および斜めスロットによる電磁振動の抑止効果に対して、昨年度までの研究成果に加えた追実験を行い、電気学会論文誌に研究成果を公表した。この論文においては、4極および6極の三相IMのスロット数組合せにおける電磁振動の発生状況を詳細に検討を行い、発生の特徴などを明らかにするとともに、回転子スロットを斜めスロットとした場合における電磁振動の抑止効果を理論的かつ実験的に明らかにしている。また、新たにCRMの負荷時電磁振動に対する研究に着手し、その成果の一部を電気学会などにて公表した。CRMの場合、そのギャップ中に逆相分磁界が存在するため、三相IMとは異なった電磁振動の発生状況となることなどを理論的かつ実験的に明らかにした。これらの研究成果に基づき、次年度は、更に詳細にCRMの負荷時電磁振動について検討を行い、その発生原因および発生の特徴などを明らかにしていく予定である。
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