研究概要 |
地下水汲み上げ用ポンプに用いられる実機に近い容量(11,000r/min,4kW)の永久磁石型ベアリングレスモータを試作して,高速回転時でも位置制御を正しく行い回転軸を支持してモータを駆動するため以下の2つの対策を施した。 1)提案した位置制御法では,永久磁石の起磁力に等しい起磁力が電動機巻線電流起磁力によって等価的に得られると仮定し,電動機巻線に流れる等価電流を永久磁石の等価電流と定義している。この永久磁石の等価電流に誤差が生じると回転磁界の方向と大きさが正しく把握できないため,所望の半径方向力が得られず回転軸を支持できない恐れがある。本年度は試作機の永久磁石の等価電流を正しく測定し,半径方向位置制御を行った。 2)回転軸の端にスペーサを取り付け,回転軸のフィールドバランス取りを行った。ギャップセンサの出力波形を観測しながらスペーサにネジを挿入してバランス取りを行った。 上の1),2)の対策を施した結果,回転速度11,000r/min,出力4kW時でも位置制御が正しく行われ,回転軸を支持できることを確認した。 一方,埋込磁石構造ベアリングレスモータについても研究開発を行っている。埋込型は回転子鉄心内を通過する永久磁石の漏れ磁束が増加するため,永久磁石の不可逆減磁に対する強度が増加し,さらにギャップ長を短くできるので半径方向位置制御巻線単位電流当り発生する半径方向力の増加が期待できる。本年度は有限要素法により半径方向位置制御巻線単位電流当たりの半径方向力や永久磁石の不可逆減磁に対する強度を解析し,それらが表面貼付型より優れていることを解析的に明らかにした。また埋込磁石型回転子を試作して電動機定数や特性を測定した。
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