現在、次世代のクリーンなエネルギー源として太陽光発電が注目され、その材料開発の研究は極めて活発である。CuInSe_2(CIS)はI-III-VI_2族カルコパイライト型化合物半導体の一つであり、Siに比べ非常に大きな吸収係数を有していることから高効率太陽電池材料として期待され、真空蒸着法、MBE法、MOCVD法、スパッタ法、電着法、スプレー法による薄膜化技術の研究が急加速的に行われている。 本研究では、有機金属塩を原料に用いた塗布分解法によってCISの薄膜化および大面積化技術を確立し、良質な薄膜を得ることを目的とする。 原料は、ナフテン酸Cuとナフテン酸Inを用い、基板としては石英基板を用いた。 まず最初に、CIS薄膜を得るためのセレン化温度およびセレン化時間の最適条件を確立するため実験を行った。その結果、セレン化時間は3時間、セレン化温度は600℃が最適であることを見いだした。次に、CIS薄膜を吸収層に用いるためには1.5〜2.0μmの膜厚が必要である。よって、本作製法で1μm以上のCIS薄膜を得るために、重ね塗りによるCIS薄膜の作製を行った。その結果、塗布回数を繰り返してもCIS薄膜の構造に変化は無くカルコパイライト構造を有することが分かった。また、12回の塗布回数で約1.5μmのCIS薄膜が得られ、光吸収層として十分な膜厚を得た。更に、Cu(In_<1-x>Ga_x)Se_2系(CIGS)の単相薄膜の作製に成功した。大面積化においては、現在2cm角の基板上でのCIS薄膜の作製に成功した。
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