研究概要 |
超伝導ケーブルや超伝導マグネットなどの超伝導電力機器の絶縁には冷媒と固体の複合絶縁構成が有力であると考えられる。機器の正常な動作を確保するために,極低温複合絶縁を研究することが重要かつ急務であると考えられた。 本研究では,低温冷媒と固体絶縁で構成される,比較的短いギャップを有する複合絶縁系の放電メカニズムの解明を行っている。 平成11年度下記の項目について研究を実施し学会発表を行った。ほぼ,予定通り計画が進んだ。 (1)低温冷媒中で放電実験を行うため,断熱性能をもった放電試験用の容器を購入し加工した。パソコンで制御された任意上昇率の直流高電圧の印加が可能な低温用放電容器を製作した。 (2)電極系には,針-平板電極を用いた。超伝導機器で問題となるバッドギャップを模擬した液体窒素と固体の複合系及び,空気と固体の複合系について放電メカニズムの検討を行った。固体には代表的な高分子絶縁材料である低密度ポリエチレンを用いた。 (3)上記の成果をまとめ学会にて口頭発表し情報交換を行った。 平成12年度 主に,下記の項目について研究を行う。 (1)高分子表面での電荷の蓄積を,熱刺激電流法またはパルス静電応力法を用いて調べる。二つの手法は高分子材料中に蓄積した電荷に熱またはパルス信号を与えることによって,電荷の蓄積状況を電気信号として得ることができるため,蓄積電荷の極性及び量あるいは位置等を定性的かつ定量的に検討できる可能性がある。 (2)上記の成果をもとに,学会および学術誌にて発表を行う。
|