GaN系面発光レーザで、GaN系半導体材料を用いた多層膜反射鏡の製作が試みられているものの、反射率99%以上の高反射率反射鏡を実現するのは困難であり、GaN系面発光レーザを実現するには、比較的容易に高反射率が得られる誘電体多層膜反射鏡を用いることが有効であると考えた。また、SiO_2を用いた横成長を用いることで、転位密度が従来のGaN膜よりも2桁程度低い、低欠陥GaNが実現できており、誘電体多層膜反射鏡の最終面をSiO_2とし、GaN横成長を用い、誘電体多層膜反射鏡をGaN中に埋め込むことで、GaN系面発光レーザで問題と考えれれている反射鏡形成とGaN膜の高品質化が同時に実現可能であると考えた。そこで、横成長によるGaN系面発光レーザ構造を提案し、実際にGaN横成長を用い、誘電体多層膜反射鏡をGaN中に埋め込み、GaN横成長条件の把握を目的した。 本研究では、電子ビーム蒸着装置によるSiO_2/ZrO_2などを用いて誘電体多層膜反射鏡の製作を試みるとともに、反射率の向上を目指した。また、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)およびアンモニア(NH_3)を用いるMOVPE法によりGaNの横成長埋め込み成長を行った。本年度は、横成長による高反射率の反射鏡を実現を目指し、下記の手法にて研究を行った。1)半導体レーザの発振波長(紫外・青色365nm〜500nm)にあった誘電体と吸収の少ない材料の探索を行い、それらの材料の多層膜構造による反射鏡の基礎設計を行った。2)電子ビーム蒸着装置により、SiO_2/ZrO_2などの誘電体多層膜反射鏡の蒸着を試みるとともに、それぞれの屈折率や膜厚などの特性を評価し、反射率の向上を行った。3)MOVPE装置により、SiO_2をマスクとしたGaNの横成長をを行い、良好なGaNの結晶を得た。今後、マスクをSiO_2からSiO_2/ZrO_2多層膜反射鏡に変え、高反射率が得られる、GaNの横成長埋め込み成長条件の把握を行う。
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