研究概要 |
本研究において最も一般的なイメージセンサである光イメージセンサと、医学、生物、食品、などの分野で酵素、微生物の観察への要求が高いイオンイメージセンサを融合した光・イオン融合イメージセンサを提案する。この融合イメージセンサは、1つのセンシング部で光とpH値を検知可能であり、かつ相互干渉せずにセンシングが行える。このため、微少部分の光とイオン情報の相互関係を明らかにでき、微生物、医療分野への応用が期待できる。提案デバイスはセンシング部、光電荷蓄積部、信号転送用のCCD(Charge Couple Device)から構成されている。センシング部と蓄積部の間のセパレートGateをONにした状態で、センシング部に光が入射することで発生した光電子は光電荷蓄積部に蓄えられる。次にセパレートGateをOFFにした状態で水素イオン(H^+)によるセンシング部の界面ポテンシャル変化分の電荷をInput-Diodeより入力し、それぞれの信号電荷をCCDで転送した後Floating Diffusion amplifier(FDA)を用いて出力する。CAD設計、マスク製作を行い、2層Poly-Si、1層アルミ工程のCCDプロセスを確立した。センシング部サイズは100μm×80μm、CCDサイズは50μm×50μmである。なお今回、pHの入力はNernstの式に従うセンシング部への界面ポテンシャル変化を疑似電極を用いて行った。本デバイスにより光の入力に対して線形出が得られており、光出力はpH変化に影響されなかった。入射光を変化させた時のイオンセンシングの出力の測定により,pH値の変化に対して線形出力が得られており、イオン出力は光強度の変化に影響されなかった。以上より、光とイオン(pH)を単一センシング部で相互に干渉することなしにセンシングが可能であった。よって光・イオン融合イメージセンサ実現に向けて見通しがたった。
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