SQUIDの特性改善のため、高透磁率材料を用いた磁気レンズを考案した。信号源とSQUIDとの間にこのレンズを配置し、測定を行ったところ、S/N向上に成功した。レンズの形状は、円板型とした。S/N向上の理由として、当初この高透磁率材料が、磁気レンズのような働きをしたと考えた。しかし、シミュレーションにより、円板型磁気レンズは信号を増幅する効果は小さく、それよりもノイズが吸収してSQUIDに検知されるノイズ成分が減少し、結果としてS/Nが向上することが分かった。 次に、磁気レンズの形状として、円錐型を採用し実験を行った。円錐型磁気レンズにおいても、S/N向上が確認できた。シミュレーションから、円錐型の場合は、ノイズ成分を減少させる効果よりも信号成分を集める効果の方が有効であり、結果S/N向上に有効であることがわかった。 従って、磁気レンズの形状を適切な物にすることによって、SQUIDのS/N向上に効果的であることがわかった。言い換えれば、ノイズ除去、信号増幅の用途に応じて形状を最適化することにより、より応用面での使用が期待される。 この磁気レンズは、S/N改善に効果があるので、今回のようなSQUIDマグネトメータだけでなく、グラジオメータとの併用も期待される。しかし、磁気レンズは磁場に勾配を与えてしまうので、グラジオメータの併用には検討の余地がありそうである。今後、実験とシミュレーションにより、グラジオメータとの併用を検証する予定である。
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