マイクロ波素子は携帯端末の小型化に伴って、低背化が進み平面化している。従って高周波回路の基本素子であるコプレーナ共振器を10mm角のMgO単結晶基板上に製作し、それらを組み合わせたコプレーナ型バンドパスフィルタを試作し、金属で作製した素子と低温において比較した。 なお、中心周波数は移動体通信に用いられている2GHz付近と、衛星通信用として、10GHzの2種類の周波数帯をターゲットとした。完全平面構造にするために、インターディジタル型容量を回路パターン内で実現した。また、伝送線路は小型基板上への配置のためメアンダーライン型とした。プロトタイプのフィルタとして、段数3、帯域幅15MHzのYBCO超伝導バンドパスフィルタを試作し、30Kでの動作を確認した。さらに、帯域外通過特性を制御するために共振器の段数を増やし、電磁界シミュレータを用いて通過特性のシミュレーションを行った。現在まで21段のバンドパスフィルタを設計した。そのシミュレーション結果から、段数を増やすと、群遅延特性のフラット性が損なわれ、波形歪を生じるが、その分スカート特性が急峻になるため、これらのパラメータを新たに設計に組み込む必要があるということを明らかにした。
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