研究概要 |
平成11年度は,特徴抽出及び歩行認識を検討するために,2ヶ所の木造家屋内でマイクロホンを床上に設置して,歩行時の足音をDATレコーダ(現有の物を使用)で録音し,インターフェースを介してパーソナルコンピュータ(設備備品費として計上)に取り込み,足音データベースを作成した.被験者として,主に本学学生に協力して頂いた.履物は,家屋内で一般的なスリッパ,靴下,裸足とした.また,木造家屋内歩行時の足音のパワースペクトル包絡が歩行者と履物の組合せによって異なることに着目し,その相関係数を求め,これを新たな足音の特徴として抽出した.基本的な処理プログラムはC言語で開発した.ここでは,予め入力しておいた足音(教師信号)新たに入力された足音のスペクトルの類似度を得るために,周波数帯域を0.05〜2,1.5〜14,12〜18kHzの3帯域に分けてスペクトル包絡の相関係数を求め,これらを特徴ベクトルとした.同一歩行者に対する相関係数が最大になるように周波数範囲を決めたが,この決定方法については今後の課題である.そして,各歩行者及び履物毎の足音についてクラスタリングを行い(学習),学習された足音については全て「その歩行者及び履物である」と識別するように判断基準を設定した.その結果,約93%の識別率で歩行者及び履物が識別できた.また,歩く速さに対応する「ピッチ周波数」とパワースペクトルの「第1ピーク周波数」を特徴ベクトルとして,簡単なアルゴリズムで歩行認識を行った結果,その可能性が得られた.来年度は,足音データを増やし,認識・学習アルゴリズムを改良して認識率の向上をめざす予定である.
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