研究概要 |
本研究では、動画像中のブロック単位で焦点ボケ量を推定し、焦点ボケの大小に逆比例したかたちで適応情報割当を行い知的率符号化を実現する。平成11年度の研究では、主に小ブロックの焦点ボケ定量化について検討した。まず、前処理(ノイズ除去)フィルタとして、平均化法,k最近傍法,メディアン法,エッジ保存平滑化法などについて比較したところ、メディアンフィルタ以外では焦点付近にあるエッジ部分にボケが生じてしまい、ボケ量の推定精度が極端に低下してしまった。そこで本手法においては、解像度を低下させずにノイズを低減できるメディアン法を適用することにした。またボケ量を求めた後に正規化して、閾値以上のピクセルを抜き出す際に、画面中には閾値以上と以下の領域が散らばっている。そこで、閾値以上の領域のうちサイズが最大のものを抽出対象とみなし、その領域の内側に含まれる閾値以下の領域を抽出対象に含め、逆に外側にある閾値以上の領域は抽出対象から除外する処理を行った。これにより1つの連続した領域が抽出領域として出力された。さらに、画像により抽出に最適な閾値は異なるため、閾値を自動で変更する手法も導入し能率化を図った。 次に来年度の研究に向けて、合焦領域は通常の圧縮処理を行い、焦点ボケ領域では情報の生成を最小限におさえる処理について検討した。レート・コントロールにより情報量を調節し、合焦領域ではより多く、焦点ボケ領域ではより少なく情報を割り当てる。これにより動画像全体の情報量を削減したにもかかわらず、合焦領域の画質は向上させることができた。動画像「クレア」において、合焦領域が動画像の論理積で画面全体の40,20,10%を占めるような領域を設定し実験したところ、合焦領域の面積比を画面の約1/4にした時、最も本方式の効果が高いことがわかった。また、合焦領域のSN比を高くするほど効果が少なくなることもわかった。
|