研究概要 |
本研究は,ITS車車間通信ネットワークの実現に向けて,特にその信号伝送方式に焦点をあてて行っている.車車間通信ネットワークでは,全体を統制する専用の制御局が存在しないため,各車が発射する電波の干渉(混信)が信号伝送上の最大の課題となる.本研究では,車車間通信ネットワークに適した信号伝送方式,特に周波数の利用効率を改善するマルチユーザ受信技術を前提に最適アクセス方式について研究を行っている. 11年度における研究成果は以下の通りである. ・アクセス方式として時分割通信を仮定した場合に問題となる周波数,スロット割り当て方式について研究を行い,自律分散型アルゴリズムを提案した.これは車両の追い越しなどにも対応したものである. ・車両間時刻同期方式について研究を行い,簡易なアルゴリズムによって実用上充分な精度が自律分散的に得られることを明らかにした. ・ITS車車間通信に適した無線アクセス方式を明らかにするために,符号分割方式,時分割方式を詳細に検討し,計算機シミュレーションによって特性比較を行った.その結果,時分割通信方式が優れていることを明らかにした.また,マルチユーザ検出技術を用いれば時分割方式のユーザ収容能力を最大3倍にまで高められることを明らかにした.
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