研究概要 |
本研究の目的は,水槽中の物体の3次元形状モデルを実時間で抽出し,その結果に基に実映像中のコンテンツとのインタラクションが可能な,新たな複合現実空間を構築することにある.このため,以下の検討を本年度において行った. 映像からの物体抽出の高速化 提案者が従来行ってきた映像からの物体抽出手法をさらに高速化する手法を検討した.従来の手法では,画像読み込み,物体探索範囲全体に対する操作の演算量が多いため,読み込み部分のデータ構造の見直し,ならびに物体の移動特性を用いた探索範囲の限定を行い高速化を図った. 水槽中の物体の映像に対する座標変換 水中の物体を水面,または水槽面に直角でない方向から撮影した場合,物体は歪んだ画像として捕らえられる.これに対して水の屈折率をもとに,水面,あるいは水槽面に直交する方向から捉えた画像に座標変換する手法を検討した. 簡易3次元形状モデルの生成 得られた多方向からの画像をもとに簡易3次元形状モデルを生成した.仮想現実空間の世界では,精巧な物体形状モデルを用いなくとも,テクスチャ画像を利用することで比較的現実感のある物体として認識されることが知られている.本手法は実映像を用いるため,精度の高いテクスチャ画像を利用することが可能であり,3次元形状モデルの抽出は精巧な形状モデルを復元するのではなく,演算時間の短縮に重点を置いた.
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