研究概要 |
本研究は,フラクタル圧縮に基づく高能率な画像符号化手法を開発し,それをLSI上に構築することを目的として行われた。平成11年度はFPGA上にフラクタル圧縮の基礎部分を構築するという目標を達成した。 本研究では,フラクタル圧縮の心臓部となるドメイン探索処理を,新しく開発した汎用エンジンRM-V上に構築した。RM-Vは電気的に書き換え可能なLSIであるFPGAと大容量のSDRAMを搭載した,汎用の信号処理ボードである。このRM-Vは,メインとなるベースボード上に,モジュール化されたボードであるRMM-Vを4枚まで増設できる構造になっている。本研究では,このRM-Vの構造とドメイン探索処理の並列性を考慮しながら,処理のスケジューリングとメモリ・アロケーションを行った。まず,入力画像を色成分毎に三つに分割し,それぞれを3枚のRMM-Vによって並列に処理することで高速化を図った。4枚目のRMM-Vを結果の記憶に利用した。さらに,大容量のSDRAMを利用することで,画像を縦方向に4分割した高度な並列処理を可能にした。これらの効果を総合すると,入力画像を12の領域に分割した並列処理が可能となり,ソフトウェア処理と比較して最大18.9倍の高速化を実現することができた。 今後は,エントロピ符号化部など周辺回路の構築とともに,画像品質および圧縮率のさらなる向上を目指して研究を行う予定である。
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