本研究の目的は、物体に対する照明方向を相対的に変化させて得られる連続カラー画像から、画素毎にその明度変化を解析することにより、物体の表面形状と表面反射特性を復元する手法を確立することである。このために、まず、光源とカメラを固定し、物体の回転による連続カラー画像の撮影装置を構築した。これは回転台とカメラ・光源固定用の治具、画像処理/入力用のコンピュータとカメラから構成した。そして、この撮像装置を用いて撮影された連続カラー画像列から、対象物体の形状と表面反射特性を復元するためのアルゴリズムを開発した。本研究で提案する手法では、物体の回転に伴って方位角のみが変化するように光源を動かすと、物体の回転角の変化に対する明度変化が、物体表面が完全拡散面である場合、物体表面の法線および拡散反射係数によって定められる正弦波となることを利用する。しかし、実際には影や鏡面反射の影響により、通常は正弦波とはならないため、拡散反射以外成分の影響を受けたデータを全て取り除き、法線方向と拡散反射係数のみで記述できるデータを取り出し、それらのデータ群を最も良く近似する正弦波を推定するアルゴリズムを開発した。そして、開発したアルゴリズムにより、光沢のある陶磁器製の皿や、プラスチック製の人形の表面法線と、拡散反射係数、鏡面反射係数の推定を行った結果良好な推定結果が得られた。また、推定された表面法線から、物体形状を復元することができた。さらに、誤差の評価を行い、本手法の推定精度についての検討を加えた。
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