ハード磁気ディスク装置において高面記録密度化を図るためには、高線記録密度化の実現とともに、アスペクト比(トラック幅/ビット長)を低減するため、狭トラック幅および狭トラックピッチ化が重要である。特に記録にじみに関する研究は、長手記録媒体においての検討も数多く行われてきており、垂直記録媒体の記録にじみについても検討が行われてきた。1999年後半にIBMが発表した面記録密度は35.3Gbit/inch^2であり、トラックピッチ0.37μm(67.3kTPI)と極めて狭い値となっている。したがって、100Gbit/inch^2を超える高トラック密度化を図るためには、10nm領域でのトラック幅方向の検討が重要になる。 単磁極ヘッド書き込み・垂直二層膜媒体系においてける記録磁界分布は、ヘッド走行方向だけでなくトラック幅方向でも急峻であり、その急峻なヘッド磁界分布のため記録にじみが小さく、高トラック密度化の制限となるイレーズバンド幅も小さいことが期待される。本研究では、浮上型単磁極ヘッド・垂直二層膜媒体系、および薄膜リングヘッド・長手媒体系で、実際にスピンスタンドを用いたオフトラックプロファイルの測定を行い、イレーズバンド幅の記録電流および記録密度依存性を検討した。20kFRPI〜200kFRPIの測定範囲において、書き込みトラック幅は記録密度に依存せず主磁極幅と測定誤差内で等しく、またイレーズバンド幅も記録電流および記録密度に依存せず、30nm以下の狭イレーズバンド幅が得られた。
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