階段状関数で駆動される連続時間線形動的システムの出力として再構成信号を得る再構成方式において、離散時間信号の値を原信号の線形汎関数として1標本化間隔の遅れ時間内に推定する方式について、まず、制御理論でのH^∞理論に類似した最悪誤差の上限の評価式が得られた。 この方式を拡張して、遅れ時間nが1の場合から一般の遅れ時間n【greater than or equal】1へ拡張するための最初のステップとなるn=2の場合の標本化システムが得られ、そのシミュレーションは、精度が向上することを示した。ディジタルシグナルプロセッサを用いて、連続時間音声信号を標本化するシステムの実機も作成した。n=1の場合には標本化システムを実現する簡潔な回路があったが、n=2の場合の回路の複雑さは2倍になることが明らかとなった。 nを任意の自然数へ一般化することは、nが有限である限り実現可能であり、nが無限となる極限で理想的な最小2乗近似になるという理論を完結するために大事なことであるが、数式の複雑さのため、結論にまで至っていない。 また、本研究から派生した新たな問題として、文字を手書きする過程のペン先の位置として計測される連続時間信号を最適に標本化するための理論が得られた。 平成12年度は、nを任意の自然数へ一般化すること、および、上記の新たな問題の応用として手書き文字の特徴抽出法および手書き風文字列の合成法に取り組む予定である。
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