本研究は、RGBカラー画像よりもっと多くの情報を持つスペクトル画像を質感計測に用いることにより、多種の材質に対応した視覚による非接触型の触覚センサの実現を目指すものである。また、スペクトル画像に適した三次元画像計測の実現およびその計測結果と組合わせることで、反射特性の計測が可能となりより信頼性の高い質感計測が可能になるものと考える。 まず、分光プリズムとCCDの組合わせによるスペクトル画像の入力システムの構築、ならびに本システムによって測定された分光反射率の精度評価を分光輝度計により行い、スペクトル画像入力システムとしての特性を評価した。この結果、簡易型のスペクトル分布計測器として十分に使用できるものであることが分かった。 また、評価した特性を基に、これまで研究されてきたグレーコードパターンを用いたパターン光投影による三次元画像計測手法を本システムに導入し、物体の形状と表面スペクトル分布を同時に計測するシステムを構築した。本研究においては、ターンテーブルによる円筒形の物体の計測とスライドステージによる平面状の物体の計測を行うことが可能となった。また、三次元形状の計測制度は約1mm程度であることが分かった。 さらに計測された三次元情報をもとに、計測物体の反射特性の計測を行った。本研究では、完全拡散反射物体を仮定して分光反射特性を求めることができた。今後、完全拡散反射成分のみならず、鏡面反射成分の反射特性の計測なども行う予定である。
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