研究概要 |
一次元振動インテンシティの能動制御の高速化を目的としてコンピュータシミュレーションを中心に以下の点を検討した.まずは,第1は,ステップサイズパラメータに関する振動インテンシティ能動制御の高速化に関する検討である.いくつかのステップサイズパラメータを設定し,計算機シミュレータにより検討したところ,周波数の3乗に比例するようにステップサイズパラメータを設定すると,全帯域で適応フィルタが安定して収束することが示された.第2は,評価関数である振動インテンシティの観測に関する高速化についての検討である.検討の結果,振動場に応じて,各制御手法を選択して観測手法として用いれば,高い制御効果を得られることが示された.第3に,適応アルゴリズムで用いるfiltered-X参照信号を得るのに要する演算量に関する検討について,次の2つの点から検討を行なった.1つは,畳み込み演算を間領域ではなく,周波数領域で行なうことによる演算量削減の検討である.その結果,参照信号を得るのに要する演算量を大幅に削減することができた.この方法はDSPへのアルゴリズム実装時に非常に有用であると言える.もう1つは,参照信号をFiltered-x参照信号ではなく,Delayed-x参照信号を用いることによる演算量削減の検討である.Delayed-xアルゴリズムを用いると畳み込み演算を時間遅延に置き換えることが可能であり,演算量の削減は期待できる.しかし,実システムの伝達関数は特性が異なるので制御効果は悪くなる. これらの検討結果より,一次元振動インテンシティ能動制御システムの実装に関して,高速化という観点から実装の十分な見通しがついたということができる.
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