研究概要 |
本研究により,以下の成果が得られた. 1.時間の経過を陽に表現した時間付き離散事象システムに対するロバストスーパバイザ制御について考察した.そして,複数の時間付き離散事象システムに対して,事象の部分観測のもとで制御仕様を満足するようなロバストスーパバイザが存在するための必要十分条件を明らかにした. 2.離散事象システムの分散スーパバイザ制御において,ある指定した個数以下のローカルスーパバイザの制御動作が停止しても制御仕様が満足されるような,耐故障性を有する分散スーパバイザが存在するための必要十分条件を導出した.さらに,その条件が満足されない場合において,コーディネータを導入することにより,耐故障性を有する分散制御系を構築する方法を提案した. 3.離散事象システムの分散スーパバイザ制御において,与えられた制御仕様の最大可制御ノーマル部分言語を用いた,耐故障性を有する分散スーパバイザの構成法を提案した.さらに,集中型のスーパバイザから,耐故障性を有する分散スーパバイザを構成する方法を提案した. 4.離散事象システムにおいて,ブロッキングを許容したもとで,ある指定した個数以下のローカルスーパバイザの制御動作が停止しても制御仕様が満足されるような,耐故障性を有する分散スーパバイザが存在するための必要十分条件を導出した.さらにその条件を満足するような制御仕様の部分言語の構成法を明らかにした. 5.離散事象システムにおいて,各ローカルスーパバイザがそれぞれ独立に,制御動作をオンラインで計算するような分散スーパバイザの設計法を提案した.個々のローカルスーパバイザが観測事象に対して制御動作を計算するアルゴリズムの計算量は多項式オーダとなる.
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