今年度においては、自律移動ロボットが屋内を安全に走行するために必要な、環境認識手法の一つである超音波ソーナに関して成果を得た。超音波ソーナは、安価で実現が容易なことから、自律移動ロボットの環境認識においてよく用いられている。しかし従来の手法では複数個の超音波ソーナが同時に動作した場合、互いに混信による誤動作を引き起こすことが問題であった。本研究ではこの点に注目し、次のような研究成果を得た。 (1)超音波ソーナの最適なパルス・パターンの獲得手法の確立:複数個の超音波ソーナが同時に動作する場合でも、超音波ソーナが送受信する信号を特殊な条件を満たすパルス列で変調することにより、誤動作の発生をなくすことができる。本研究ではこのようなパルス列を獲得する手法を確立した。 (2)パルス・パターンの最適化手法の確立:(1)で得られたパルス・パターンは、そのままでは信号長が長くなるなどの問題を含んでいた。そこで遺伝的アルゴリズムを用いて実用に耐えうるような信号長をもつパルス・パターンに最適化する手法を確立した。 (3)最適化過程における探索効率の向上:さらに、(2)で提案した手法において、パルス・パターンを遺伝子にコード化する際に、無駄な探索を極力削減するような手法を提案し、最適化結果の向上に成功した。
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