研究概要 |
本研究では,多関節ロボットによる高速な軌跡重視位置決め制御を実現するために,位置同期による輪郭制御の概念を位置決め制御に導入した方法を確立する.位置同期軌跡制御は,作業空間の各座標軸上の移動距離を同期させることによって,塗装や溶接作業のようにロボットが移動した軌跡も制御する方法であり,この手法を位置決め制御に応用して速度制限やトルク飽和による誤差を減少させる.さらに,ロボットの各関節モータで生じるトルクをオンラインで推定し,その値が十分に低い場合には速度を上げて作業時間の短縮することで,高速化も実現する.以上の2つの手法を組み合わせることで,位置決め制御の高速化と高精度化を両立させることが可能となる. 昨年までは簡易なモデルによるシミュレーションを作成して提案法の有効性を実証していたが、より正確な検証結果を得るために,厳密なモデリングおよびシミュレーションが可能な数値解析ソフトウェアMATLABを導入し,ロボットおよびその制御系のモデルを作成したのちに,解析を行った.MATLABを用いたことにより,簡易シミュレーションよりも詳細かつ多岐な条件でシミュレーションを行えるため,提案法の高精度化の度合いや適用限界をさらに厳密に知ることができた. また,実際のロボットに適用した場合の検証を行うために,厳密なロボットのモデルを作成する必要があるが,現在までに,保有する多関節ロボットの入出力測定装置を作成し,ロボットの各関節毎の速度入出力,トルク入力の測定を行っており,MATLABのモデリングツールを用いてモデルを作成する段階にある.
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