本年度は木橋を取り巻く諸環境と設計法に関するに関する基礎的資料の収集を目的として以下に示すような研究活動を行った。 ・既往の資料を基に木橋のコスト的な検討を行った。中には従来型に比べて数倍のコストを要しているものもあるが、パイロット的な事業が多く設計法も確立されていない現状ではある程度やむを得ないものと考えられる。一方で木橋は従来型の橋梁と遜色ないコストでの建設することも可能となるのではないかとの考え方もある。橋梁整備における木橋の地位を確立するためには、小コスト化に関する検討が重要であることが確認できた。 ・木橋の施行事例に関する情報収集を行い、11橋については実際に見学した。実際の木橋に関しては、周囲との調和が配慮されていると感じた反面、アメニティ性や総木製であることにこだわっている事例が多いという印象を受けた。アメニティ性に関しては設計コンセプトのひとつであり、そのように感じるのはやむを得ないのであろうが、これらがコストアップを招いているのは否定できないであろう。長期的展望の下ではこれらとコストとのバランスをどう導いていくかが重要であると感じられた。また国産木材の有効利用や環境保護は木橋建設の副次的要因と考えられるが、それらの相関が明確でないことから、それらに関する定量的な評価に関する研究も必要であろう。 ・木質構造設計指針・同解説(日本建築学会)等を参考に、木橋の設計手法を学んだ。
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