研究概要 |
本研究では,光ファイバーを用いてPC用緊張材のひずみを測定できるか検討するための引張試験と,PC用緊張材とコンクリートとの摩擦によってロスするプレストレス量を測定できるか検討するための曲げ引張試験を実施した。なお,曲げ引張り試験の場合,摩擦を生じさせるコンクリートの曲率半径を191cm,緊張材との接触距離を50cmおよび定着部における緊張材の角度を15°と設定した。 本実験では,光ファイバーをPC鋼より線表面の凹部にエポキシ樹脂で接着固定したものと,AFRPロッド中心部に【bounded integral】1.0mmのSUS管が埋設されてあるものに光ファイバーを後挿入しエポキシ樹脂で接着固定したものの2種類について検討した。 引張試験では,光ファイバーを一体化させたPC鋼より線およびAFRPロッド(緊張区間3.0m)にジャッキにより緊張力を与え,各荷重段階ごとに光ファイバーのひずみ量をBODTR(最小分解能1.0m)で計測した。また曲げ引張試験では,コンクリートと緊張材との摩擦によるプレストレスの損出量を載荷部および固定部の両端に取り付けた荷重計により算出した。なお,光ファイバーによって計測されるひずみ量の妥当性を確認するために,あらかじめPC鋼より線およびAFRPロッドの引張試験を実施し,両者のS-S曲線から弾性係数を算定した。 引張試験の結果,PC鋼より線の場合,多少ねじりの影響を受けひずみはばらつく傾向にあるものの,両緊張材とも光ファイバーによって計測されるひずみ量から作成したS-S曲線より求められる弾性係数は,あらかじめ行った引張試験によって求めた弾性係数とほぼ同じ値であることが確認された。したがって,緊張材に発生するひずみ量を光ファイバーによって計測できることが分かった。また曲げ引張試験においても同様に,摩擦によるひずみ損出量を連続的に計測できることが確認された。
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