本研究では、コンクリートを含む建設材料が景観材料として適用される基礎的資料を得るため、これら材料テクスチュアにおける表面特性の把握を行った。つまり、材料表面の濡れによる影響の把握を行うとともに、屋外での「見え」に及ぼす濡れ及び光源の影響の検討を行うものである。市販されている建設材料12種類(コンクリート系4種類、石材系3種類、レンガ系4種類、木材系1種類)を供試体として選定した。紙面の都合上ここでは、コンクリート:はつり大、石材:花崗岩(滑)、レンガ:レンガ、木材:ヒノキの4試料の検討とする。 濡れた景観材料の明度L^*の経時的変化により、コンクリート及び石材表面は木材に比し早期に乾燥し、木材表面は水分を長期に保持することが理解できた。レンガは若干明度が下がるものの、濡れと乾燥ではあまり明度変化がないことが理解できた。材料表面の乾燥状態、湿潤状態より、コンクリート、石材及び木材それぞれの湿潤状態は乾燥状態に比し、彩度及び色相の変化は見られないものの明度が2程度低下することが理解できた。しかし、レンガは、色相、明度及び彩度においてほとんど変化しないことが理解できた。昼光下における材料表面の乾燥、湿潤状態から、色相において、石材は濡れると青系から赤系に変化し、他の3材料は変化しないことが理解できた。濡れの明度への影響において、木材及び石材は1程度、コンクリートは3程度低下するのに対し、レンガは1程度上昇することが理解できた。濡れの彩度への影響において、コンクリートとレンガは2程度、木材は4程度上昇するのに対し、石材は5程度低下することが理解できた。材料が屋外環境下で見られるときは、明度・彩度ともにその値が大きく評価される傾向にあった。特に石材は色相にも影響することが理解できた。 以上の結果、構造物表面の材料選定において、濡れ特性、光源による見え特性の理解が重要となる。
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