本年度は、橋梁から放射される騒音の内、特に伸縮継ぎ手部から放射される騒音に着目し、実橋梁において騒音測定および測定結果の解析をおこなった。 測定対象とした橋梁にはゴム製伸縮装置と鋼製伸縮装置があり、また、ゴム製伸縮装置は全幅が異なるものが計7個用いられている。これらの伸縮装置部分を車両が通過する際の騒音を測定した。これらの伸縮装置について3通りの測定方法を用いて、普通騒音と低周波音を測定する。得られたデータより音圧レベルおよび周波数特性について検討した。以下に本年度の研究で得られた知見を列挙する。 (1) 騒音測定を橋上伸縮継ぎ手付近(測定1)、伸縮継ぎ手設置橋脚基部(測定2)および伸縮装置設置橋脚から橋軸直角方向に20m離れた地点(測定3)で実施した。その結果、測定1と測定3では通過車両の影響が大きく、伸縮装置からの騒音特性を把握することは困難であることが明らかとなった。 (2) 測定1〜3で得られる音圧レベルには明瞭な差異は認められないものの、車重が大きいほど音圧レベルは大きくなる。 (3) 各測定での騒音の周波数特性を解析した。その結果、測定1と測定3では低周波音において2〜4Hzの卓越周波数があるものの、全測点について共通の周波数であり通過車両から発せられる騒音と考えられる。 (4) 測点2では各伸縮装置ごとに明瞭な卓越周波数の違いが低周波音について認められた。ゴム製の伸縮装置では、伸縮装置の幅と卓越周波数の間に関係があると推定される。
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