本研究では騒音および振動測定により橋梁の損傷程度を推定する方法について検討した。特に、実橋における測定を行い、路面状況、伸縮装置付近の損傷と発生振動・騒音との関係を検討した。 実測を行った橋梁は橋長1040m、幅員10.5mのPCコンクリート連結橋と鋼3径間連続斜張橋からなる橋梁である。この橋梁には9つの伸縮装置があり、このうち7つはゴム製伸縮装置、2つが鋼製伸縮装置である。 本研究で得られた知見を以下に列挙する。 1.橋面上の一般部および橋梁外の接近道路での測定結果を比較すると、橋梁の中心に近い測点の方が、橋梁全体から発生する低周波音の影響が大きい。スペクトル解析より橋面で測定した低周波音には2〜4Hzの周波数成分が多く含まれる。 2.路面の損傷状況を発生騒音から推定することは困難であった。これは通過車両から発生する騒音による影響が大きいためである。また、車両通過時に発生する騒音は車両速度および車両重量にほぼ比例して大きくなる傾向にあることが明らかとなった。 3.橋梁伸縮装置部から発生する騒音は伸縮装置の材質、形状により異なる周波数特性を持つことが明らかとなった。ゴム製伸縮装置では伸縮装置幅175mmで6〜8Hz、305mmで14Hz付近、315mmで10〜12Hzでそれぞれ卓越する周波数成分を持つ。したがって、これらの卓越周波数が変動することで伸縮装置の変状を推定することができるものと考える。ただし、橋面上での測定ではこの特性を見いだすことは困難であり、伸縮装置下面での測定が必要である
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