橋梁の高欄や高層建築物のバルコニーに取り付けられている手すりに角柱を多数並列に並べた構造を採用することがある。このような構造の場合、自然風の作用による振動や空力音が問題となる。この振動や空力音の発生原因については、風洞実験により実験的研究が行われており、振動や空力音の発生する風速や風向については明らかになっているが、その発生メカニズムについては十分な検討が行われていない。そこで本研究では、並列に配置された多角柱列まわりの流れに対して直接シミュレーションによる3次元数値流体解析を行い、この振動、空力音の発生メカニズムを数値解析的に解明することを目的とする。 昨年度は、静止した状態の多角柱列に対して風洞実験で特異的な現象が確認された前後の風向の条件での解析を行った。これにより、ある特異的な風向の条件においてのみ、角柱表面の圧力変動に周波数ピークが見られ、風洞実験で空力音が発生した条件との一致が得られた。本年度は、角柱の音に伴う振動を考慮するために、角柱が振動した状態での解析コードを構築し、角柱振動時の非定常空気力の算出を行うことを試みた。また、高レイノルズ数を扱うためにLESによる乱流モデルを取りこんだ。これにより、物体振動時の流れの特異的な現象を数値流体解析により理解することが可能になった。
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