研究概要 |
砂の微小ひずみ時の剛性に及ぼす圧密時の異方応力と主応力軸方向の影響を調べるために,種々の異方応力状態で圧密した豊浦砂と火山灰質砂質土供試体の初期剛性をベンダーエレメント(BE)試験と繰返し載荷試験により求めた。BE試験では等方応力状態から鉛直応力,平均主応力,水平応力一定のもとで圧縮及び伸張方向に異方圧密し,鉛直方向(VH)と水平2方向(HH、HV)のせん断波速度を測定した。繰返し載荷試験では,異方圧密時の鉛直軸に対する最大主応力方向角を0℃(三軸圧縮),22.5°,45°(単純せん断),67.5°,90°(三軸伸張)とし,微小な繰返し載荷を軸方向及びねじり方向に与えヤング率とせん断剛性率を求め,BE試験から求めた結果と比較した。また,BE試験での初期剛性に及ぼす波形,伝播方向,読み取り位置等の影響も調べた。その結果以下のような結論が得られた。 1.送・受信波形の立ち上がり点の差から求めたせん断剛性率は、波形及び周波数の影響を受けない。 2.等方応力状態ではせん断剛性率G_<HH>がG_<VH>よりも高く、またG_<HV>はG_<VH>と同程度かやや高い。これは、堆積構造の異方性が原因であると考えられる。 3.排水鉛直ヤング率は圧密時の水平応力及びせん断応力に依らず鉛直応力のみの関数である。 4.せん断剛性(せん断波速度)は,せん断波の振動及び伝播方向の応力に依存し,それと垂直な方向の応力にはほとんど依存しない。また,せん断波の振動方向よりも伝播方向の応力により依存する。 5.等方応力状態から離れ破壊状態に近い応力状態になるに従って,異方応力状態での初期剛性は既存の推定式で表される関係よりも低下するが,その低下割合はせん断波の伝播方向および圧密時の主応力方向によって異なる。
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