都市ごみ焼却灰の有効利用に関しては、そのほとんどが最終処分場に埋立処分されているのが現状であり、都市ごみ焼却灰の資源化、都市ごみ焼却灰埋立地盤の跡地利用などが重要課題となっている。本研究は、都市ごみ焼却灰埋立地盤の跡地利用に向けて、都市ごみ焼却灰の地盤工学的性質に関する詳細な把握を行うものである 本年度の研究により、以下のことが明らかとなった。 1.都市ごみ焼却灰の粒子の密度は、一般的な砂質土と比較して小さく、粒度組成は、ほとんどが砂分及び礫分で構成されていることが分かった。また、物理特性に関しては、採取年度の違いによる大きな変化は見られなかった。 2.CBR試験の結果より路盤材及び路床材への適用を検討した結果、本研究で用いた都市ごみ焼却灰は、高い支持力を有していることから、下層路盤及び路床上部・下部の材料として十分に適用可能であることが分かった。 3.液状化試験を行った結果、同程度の相対密度である豊浦標準砂と比べれば、繰返し荷重による平均有効主応力や軸ひずみの急激な低下は見られないことが明らかとなった。さらに、粒度分布から液状化の可能性があると判断されるが、比較的高い液状化強度を呈するという結果が得られた。 4.都市ごみ焼却灰からなる盛土の安定性について、さらには、都市ごみ焼却灰で構成される地盤の支持力特性及び土圧特性について、遠心模型実験並びに、二次元有限差分法解析の両方から検討した結果、都市ごみ焼却灰からなる盛土は、豊浦標準砂と比べて緩い密度条件であるにも関わらず、高い安定性を示し、都市ごみ焼却灰地盤は、標準砂地盤よりも、変位ベクトルが小さく、応力分散の傾向は大きいことが明らかとなった。
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