研究概要 |
陸面過程モデル(SiBUC)による陸面データ同化(Land Data Assimilation)のための気象強制力として、また大気-陸面結合モデル(JSM-SiBUC)による領域4DDAの検証用として利用するために、HUBEX-IOP(1998/5/1〜8/31)で取得された気象・水文観測データを用いて、時・空間的に均質な気象メッシュデータセットを作成した。ここで、陸面データ同化とは、観測値をもとにした気象強制力を陸面モデルに与えて、熱収支・水収支を推定することである。気象モデルで雨や放射を正確に予報するのは困難であるため、気象モデルに依存しない形でフラックスを推定することが陸面データ同化のねらいである。 さらに、気象メッシュデータを用いて、陸面過程モデル(SiBUC)により淮河流域の水・熱収支分布を1時間単位で計算した。蛙埠上流域(121330km2)において,SiBUCが算出した流出量と観測された流量を比較したところ、計算値は観測値よりも過小評価していることが判明した。したがって、計算された蒸発散量は実際の値より大きいことが予想される。この研究の枠組みだけでは水・熱収支の真値を推定することは困難であり、陸面モデルのみならず、現地観測データ、客観解析値、衛星データ等を総合的に解析して、GAMEの各地域間の比較までも視野に入れた水・熱収支研究WEBS(Water & Energy Budjet Studies)のもとで議論を開始した。すなわち、本研究の当初の目的である大気陸面相互作用研究の基礎となる高精度なデータセットの作成を現在も精力的に進めている。 一方で、JSM-SiBUCモデルをHUBEX領域に適用し、GAME再解析データ(Ver.1.1)を初期値・境界値として領域4DDAを実施し、GMS画像や地上気象データで検証した。現在は植生条件を水田、畑地、森林、裸地と変化させたインパクト実験を進めており、領域水・熱循環への影響とフィードバック機構を分析中である。
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