研究概要 |
本研究は,近年技術発展が著しい画像処理技術を適用して,画像輝度情報から浮遊物質濃度の瞬時的・空間的な濃度分布を推定する手法の開発を目指している.初年度の研究実績を以下に述べる. 1.可視化実験計測システムの作製: 室内水理実験において,水槽中の浮遊物質濃度場における可視化断面画像を得るための計測システムを確立する.レーザースキャン光学系装置を用いて光膜を高速で移動させることによって,3次元的な準瞬時の可視化断面の計測する.高質の画像輝度データを得るために,システムの各部に検討を加え,画像輝度の補正を行った.今後,本計測システムによって得られた画像輝度に対して,ウェーブレット変換を用いた画像補正を施すことによって,輝度分布のノイズ除去を行う予定である. 2.画像輝度-浮遊物質濃度関係式の定式化: 浮遊物質濃度場における光の伝播特性を考慮した基礎方程式(放射伝達方程式)を用いて,画像輝度-浮遊物質濃度関係式の定式化を行った.その関係式では,画像輝度は濃度場における光の減衰のみならず,光の多重散乱の影響を反映したものとなる.今後,関係式中における多重散乱の影響を表す項のモデルを行う予定である. 3.一様濃度場への本計測手法の適用: 一様に調整した濃度場において,輝度-濃度関係式を適用することにより,その関係式中に現れる係数の同定を行った.ここでは,1.で確立した画像計測システムを用いて計測した画像輝度と調整濃度の関係から実験的に各係数を決定した.得られた各係数を用いて,一様濃度場に本計測法を適用し,本手法の精度について検討を行った.
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