本年度は以下の研究を行った。 唯一市販されている高分解能衛星画像イコノス(解像度:オフナディア(垂直下方からの角度)26度の角度で撮影の場合は1m)を利用して、建物と道路の自動抽出の可能性について検討を行い、以下の結論を得た。 1.建物の抽出について 建物抽出できるかどうかが基本的に建物のサイズおよび密度に左右されることが分かった。定量的な結論をいえば、密度が低く(建物と建物の間8m以上離れている)、幅が4mを超える建物は抽出される可能性が高い。また、建物が大きくても密度が高い場合(建物と建物の間4m以下離れている)は抽出ができない場合もよくある。また、抽出方法の検討も行った。特徴に基づく手法(エッジ情報を利用する手法)と領域拡張法(領域情報に基づく手法)の比較研究では、1mレベルの画像から建物を抽出する場合は、特徴に基づく手法より領域拡張法のほうが効率よいことが分かった。 2.道路の抽出について 市街地道路の抽出はかなり難しいことが検証により分かった。主な原因は以下の二つあげられる。1)市街地の道路が狭く、街路樹などの"ノイズ"が多いこと;2)イコノス画像は垂直下方からある角度で撮影することが多いため、道路、特に狭い道路の一部分またはほとんど隠される可能性が高いこと。一方、郊外の場合は、建物などの影響が少ないため、抽出の可能性が高いことも分かった。 3.GISデータベースの更新について 高分解能衛星画像の特徴を分析した上で、いくつかの実例を利用して、GISデータベースの更新への適性などについて検討を行った。 これから、インタネット技術の進歩により、データの標準化・共有化が実現されつつある。その結果として、Web GISやモバイルGISなどIT関連技術が普及され、GISの従来の概念もすこしずつ変わっていくだろう。そのなか、衛星画像、特に高分解能衛星画像がGISの進歩に大きな役割を果たすことは間違いない。
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