今年度は本研究の初年度に当たり、以下の2点について研究を行った。一つは国内各地域の情報産業連関表を作成し、それぞれの地域について情報化の進展度を分析した。もう一つはこの情報産業連関表を用いて情報化の進展が地域経済に与える影響を分析する応用一般均衡モデルの提案を行った。前者については、分析の結果、1)わが国国内には首都圏のように既に情報化がかなり進展している地域もあれば、地方圏のように情報化が進んでいない地域も存在すること、2)同じ地方圏にあっても地域によって産業構造が大きく異なるため、情報化を進めやすい地域もあればそうでない地域も存在すること、などを明らかにすることができた。また、後者については、1)情報通信サービス部門で技術革新が起こると、これを利用して生産活動を行う「情報部門」で生産性が向上すること、2)その影響は現場で製品を生産している「非情報部門」にも波及すること、そして、3)最終的には製品価格の低下という形でその利益を最終消費者が享受すること、などの経済メカニズムを組み込んだ応用一般均衡モデルの提案を行うことができた。次年度はこの応用一般均衡モデルを用いて、規制緩和や情報通信インフラの整備等の政策が地域経済に与える影響を定量的に分析し、地域産業の情報化戦略に関する政策提言に結びつけるていく予定である。
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