本研究は、荷主を対象としたアンケート調査を実施し、その調査結果を分析することで、荷主のモーダルシフトに関する意識構造を明らかにするとともに、荷主がどのように輸送機関の選択を行っているかその実態およびその選択構造を明らかにすることで、事業所経営の立場からモーダルシフトを阻害している要因を明らかにすることを目的としている。 今年度は主として、文献やヒアリング等によって、モーダルシフトの実態や今後予定しているアンケート調査の内容や方法などについて検討を行うとともに、荷主の輸送機関の選択構造やモーダルシフトに関する意識構造などをモデル化するための手法について検討した。その結果以下のような成果を得た。 1.モーダルシフトの実態 非常にわずかではあるもののいくつかの荷主において、トラックでの輸送を鉄道や内航海運による輸送に変えるといったモーダルシフトを行っており、コスト面からもモーダルシフトが成功している例があることが明らかになった。 2.モデル化の手法とアンケート内容の検討 文献などの調査により、輸送機関の選択モデルには、一般の交通機関の選択モデルを構築する際によく利用されているロジットモデルが、荷主におけるモーダルシフトの意識構造のモデル化には、共分散構造分析法が有効であるものと考えられた。そのため、アンケートを作成するにあたりこれらの手法による分析が可能なように、質問項目を作成していく必要があるものと考えられる。
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