研究概要 |
本研究は、生物学的窒素除去プロセスを安定的に運転管理し、処理効率をより向上させることを目的として、都市下水生物膜内に存在する硝化細菌群の多様性を評価するとともに、in stiuでの優占種の動態解析を行うものである。 本年度は解析技術・手法の開発に主眼を置き研究を行い以下の結果を得た。硝化細菌は強固な集塊を形成しているため、DNAの抽出が阻害されると考えられたが、酵素処理(リゾチーム : 5mg/mL及びプロテイナーゼ : 2mg/mL)後、ドデシル硫酸ナトリウム1%(w/v)を加え、凍結融解法を3サイクル行うことにより生物模試料より効果的に全DNAを抽出・精製することができた。抽出したDNAをテンプレートとして全細菌に特異的な16SrDNAの領域8-1507(E.coliのポジション)約1,500bpをターゲットとするプライマーセット(GM3FとGM4R)及びアンモニア酸化細菌に特異的なプラアイマーセット(CTO189fA+CTO189fCとCTO645R)を用いて、約450bpをPCRにより増幅できることを確認した。PCR増幅産物の特異性はDGGE解析の最も重要なパラメータであるため、各プライマーセットにおいて非特異的な領域の増幅がなされない厳しいPCR条件を決定した。PCR増幅産物をDGGE(Denaturing Gradient Gel Electrophresis ; 変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)法により分離・検出する前に、pGEM系のプラスミドにライゲーション後、大腸菌を用いてクローン化し、DNA断片を分離した。その後分離されたDNA断片の塩基配列を自動塩基配列解析装置によって塩基配列を決定した。 来年度は検出された新たな硝化細菌に対し特異的なDNAプローブを設計し、これを用いて実際の生物膜内でin situハイブリダイゼションを行い、空間分布を観察する。In situハイブリダイゼーションの最適条件を決定する。
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