本年度は、「処分場内部の温度影響を再現できる室内実験装置を用いた遮水システム近傍の水分・溶質移動特性への温度影響に関する基本メカニズムの解明」を実施した。実験用カラム(塩ビ製)に砂質土壌を想定した豊浦標準砂を充填し、カラム上部から埋立地内部温度上昇を模擬するため種々の温度に設定された人工浸出水(模擬トレーサー物質として塩化ナトリウムを溶解させた)を滴下し、水分不飽和状態でカラム内を流下させた。そして、カラム内部の種々の位置で内部水の濃度又は温度の時間変化を測定することによって、溶質・熱移動の基本的特性を把握した。まず、溶質移動特性として、降雨強度が10〜50mm/hrの範囲ではほぼ1×10^<-7>【m!^2】/sのオーダーの溶質分散係数を示した。また、降雨強度の増大とともに指数的に溶質分散係数は増大し、その傾向を実験式で表すことができた。同様に熱移動についても、有効熱伝導に加えて、熱分散の発生による熱伝導率の増大が見られた。熱分散係数は溶質分散係数とオーダーが一致し、両者の相似性が確認できた。このように水分不飽和状態での移動現象を考える場合には、流体力学的分散を考慮する必要があり、遮水システム近傍の熱・溶質移動現象の解析においても重要な要因になることが予測された。
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