研究概要 |
メッシュデータの各メッシュに流水線方向を持たせた水系モデルは落水線図(落水線モデル)とも呼ばれ、流域(水系)の抽出、分析、洪水解析、地形解析などデジタル地形モデルとして重要な情報ソースとなる。一般に落水線モデルを作成するには数値標高データ(DEM)を利用して、最急勾配方向に落水線方向を定める方法が採用されているが、DEM作成時のエラーやDEMの解像度の制約により、落水線方向に無限ループが生じたり、不自然な形状の疑似河道が形成されるなど、様々な不都合が生じ、手作業による修正作業が伴っていた。 今年度、本研究で開発したアルゴリズムでは、デジタイズした河道網データが教師データとなり落水線モデルが作成されるため、自動生成される疑似河道網は現実により近い形状として再現でき、手作業による修正作業もほとんど必要とならない。本研究では米国地理調査局(USGS)と作成した30秒メッシュの数値標高データ(GTOPO30)と、米国画像地図局(NIMA)が配布する地図情報(DCW)に含まれる河道網図を利用して、30秒メッシュでアジア地域(東経50゜〜180゜、北緯0゜〜80゜、15,600カラム×9,600ライン)の落水線モデルを作成した。教師データとなる河道網が正しくデジタイズされている地域では、良い精度で落水線モデルが作成され、開発したアルゴリズムの実用性が示された。本アルゴリズムは、メッシュサイズに依存せず、グローバルスケールだけでなく、数メートルのメッシュサイズでローカルスケールにも対応可能である。来年度は、他の大陸域でもデータを作成し、水資源モデルへの展開を行う。
|