研究概要 |
平成11年度は解析対象地点の選定とデータの整理を主体に行った.そして,大まかな傾向をみるために気温と降水量が減少しているか増加しているかをトレンドを一本の直線で表現するモデルで解析した.さらに,東海地方の気温を対象として複数の折れ線でトレンドを表現するモデルによる解析を行った. まず,対象地点の選定だが,トレンド解析を行うので長い期間に渡ってデータが揃っていることが必要となる.そこで,わが国の気象官署で観測された日平均気温の月平均値,月降水量についてデータの揃っている程度を調べた.その結果,観測開始以来,欠測が無く全てのデータが揃っているのは気温で120地点,降水量で99地点であった.また,観測開始年が1900年以前であるものは気温,降水量共に60地点であった.両方の条件「1900年以前より観測が開始されており,欠測が無い」を満たすものとして,気温については47地点,降水量については42地点を解析対象地点として選定した. 選定したデータを利用のし易さを考慮して表計算ソフトに入力した.そして,季節を代表することを意図して,1,4,7,10月の月平均値および各月の平均より求めた年平均値を対象として,経年変化を図化すると共に一本の直線で表現して増加また減少の一方向的な変化の程度を求めた.その結果,全国的に気温は上昇傾向にあること,また降水量は減少傾向にあることが分かった.また,東海地方の気温について,増加の程度が途中で変化している場合に表現可能な折れ曲がり直線でトレンドを表現したところ,1940年頃を境に気温上昇の程度は変化しており,最近になって上昇の程度が激しくなっていることが示された.
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