研究概要 |
1.セメントペースト供試体のクリープ,収縮特性に関する実験 本年度は,セメントペースト供試体を用いて自己収縮および圧縮クリープ特性に関して実験を行った。その結果得られた知見を以下に示す。 (1)自己収縮ひずみ:自己収縮ひずみにおいては材齢1日より測定し,水セメント比や混和剤添加の有無による影響について検討に対する水セメント比,測定開始材齢および乾燥の影響について検討を行った。その結果,材齢1日までに生じる自己収縮ひずみは水セメント比が小さく,また混和剤を使用したものほど大きくる。しかし材齢1日以降では混和剤無混入の場合のほうがひずみの増加速度が大きくなる。このことから,自己収縮比済みにおける水セメント比や調合の影響は測定開始材齢によって異なることが分かった。 (2)圧縮クリープひずみ:圧縮クリープひずみにおいては水セメント比や載荷時材齢および乾燥の影響について検討を行った。その結果,Basic Creepひずみは載荷時材齢によらず載荷期間100日程度でほぼ一定のクリープひずみ速度を示す。Total Creepひずみは載荷時材齢が若いほど,載荷初期において乾燥の影響を大きく受けるが,載荷期間の後半ではひずみの進展がほとんど見られなくなる。 2.Basic Creepにおけるスペシフィッククリープの数式表示 1.(2)圧縮クリープひずみの実験結果をもとに,Basic Creepにおけるスペシフィッククリープの数式表示について考察を行った。その結果,Basic Creepのスペシフィッククリープひずみは載荷時材齢および水セメント比をパラメータとした式で表されることが分かった。 3.コンクリートのヤング係数の推定式の提案 人工軽量骨材を用いたコンクリート供試体について強度およびヤング係数と骨材容積比および弾性係数比との関係について検討を行い,骨材の弾性係数が簿材の弾性係数より小さい場合も含めたコンクリートに対して,複合則理論を用いて骨材の影響を取り入れたヤング係数の推定式の提案を行った。その結果,検討すべき課題はあるが,提案する推定式を用いて実験結果をほぼ表されることが分かった。
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