研究概要 |
まず,建築構造物の変位モード制約型地震応答制御解析に対して,BOTT-DUFFIN逆行列を応用した。1次モード形状と2次モード形状を単独の制約条件とした場合の制御特性に関する著者らの知見に基づき,各々の固有モード形状を満足する制御力の任意の重み付けで合成した制御力を創生する複数固有モード制御の考え方を提案し,解析結果によりその制御合理性を示した。また,2次モードの重み係数による制御力と応答低減効果のトレード・オフの関係,およびアクティブ制御力の駆動時間遅れによる制御効率低下について数値解析例を通して明らかにした。 次に,ハイブリッドマスダンパーの制御則に対してBOTT-DUFFIN逆行列を応用し,数値解析例を示した。制約条件については,主構造とTMDとが擬似的に共振状態を保持するように主構造の最上階とTMDとの変位比を想定することを提案した。すなわち,TMD応答と主構造の最上階応答が常に4分の1周期の時間遅れで任意の応答比を保持するための制約条件式を示し,その際の制御効果と制御力について評価を行った。また,応答比を大きくしても,入力地震動によっては主構造の応答が低減されない場合があり,応答比の最適値が存在することを示している。 最後に,振動中に異なる構造体,あるいは構造要素に接触が生じる接触振動解析に対してBOTT-DUFFIN逆行列を応用し,その理論の定式化を示した。制約条件を満足するための内力が制御問題では制御力となり,接触問題では接触力として評価できることを示した。
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