第一段階として、空気集熱/単結晶シリコン太陽電池タイプの太陽光/熱ハイブリッドコレクタの夏期及び冬期実験を行った。これにより、夏期実験では早朝と夕方に直達日射の入射角度が大きいことによる発電効率の低下を、また日中に太陽電池セルの温度上昇による発電効率の低下を確認し、冬期実験では外気風速が発電/集熱性能に及ぼす影響が極めて大きいことを確認した。これらの実験で得られた知見から太陽光入射角度による日射透過率への影響、外気風速による外気側対流熱伝達率への影響等に配慮した詳細なハイブリッドコレクタのシミュレーションモデルを構築し、±5%以内の再現誤差と高い精度を得た。 実験に用いたハイブリッドコレクタは市販の太陽電池の裏面を空気集熱層にしていることや表面に断熱空気層を持っていないことなどから冬期集熱効率が12%前後と極めて低かった。そこで第二段階として、より高性能なハイブリッドコレクタを提案するとともに、計算モデルを改良し計算時間を大きく短縮した。また特殊なハイブリッドコレクタとして、太陽光透過型太陽電池モジュールを使用したハイブリッドコレクタを提案し、開口率によって集熱/発電のバランスをコントロールできることを示した。 第三段階として、TRNSYSによって高性能ハイブリッドコレクタ、太陽電池パネル、平板型集熱器の3種類の利用システムを次世代省エネルギー基準の住宅に設置したときの性能を比較した。冷暖房負荷と給湯負荷への利用を想定した場合、2次エネルギー基準のシステム成績係数でみると、集熱器と太陽電池は2.5と2.7とほぼ同程度だが、ハイブリッドコレクタは5.8という高い値であった。1次エネルギーで評価すると、太陽電池ではほぼ消費がゼロになり、ハイブリッドコレクタについては年間1GJもの1次エネルギーを生産している結果になった。
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