本研究は、市街地の立体景観模型と可動式小型CCDカメラ、ならびに3次元静止画像や動画を加工・シミュレーションするコンピュータ機器からなる『相方向対話型3次元都市環境シミュレーター』を用いて、まちづくりのプロセスと市街地環境の段階的改善・更新を同時進行的にシミュレーションするシステムを確立し、1)地域における市民参加型まちづくりの場面で実践的に活用すること、2)大学/大学院教育・市民教育における、まちづくり実験プログラムを開発することの2点を目的としている。 平成11年度は以下に示す研究開発を行った。 (1)3次元都市環境シミュレーションシステムの開発・充実 建築の建替えを想定し、<高さ・容積・壁面線>の3点をパラメーターとした3次元都市環境シミュレーションシステムを開発した。 (1) 立体市街地模型と可動式小型CCDカメラ、及びコンピューターシミュレーションによる景観再現映像の特性把握と環境イメージの合意形成手法の有効性を認識。 (2) 日照や自然環境、建物外部空間の看板や道路標識、電柱、電線などの環境影響要素も加えた3次元都市環境シミュレーションシステムの開発及び環境条件のプロトタイプ化の実現。 (2)相方向対話型まちづくりプロセスゲームの開発 想定される対象地域の建築/都市空間のアーキタイプ(空間・環境構成の原理とそのタイプ)の抽出を行い、市民自らが様々な条件に応じてアーキタイプの入れ替えや組み合わせの変化などのシミュレーションを行える対話型まちづくりプロセスゲームを開発した。 (1)アーキタイプの抽出 異なる都市基盤条件を有する地区を事例とし、建築立て替えの単位をアーキタイプとしてタイポロジー化。 (2)相方向対話型まちづくりプロセスゲームの開発 3次元都市環境シミュレーター上で既成市街地における立て替えやまちづくりの進行過程をアーキタイプを用いてシミュレーションする方法の開発。
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